おやしらず


親知らずが歯を支える骨のなかに埋ったまま、隣の歯にひっかかって生えてこなかったり、間違った方向に生えてしまう「萌出異常」は、

あごの骨格の発達が不十分な私たち現代人にとってめずらしい症例ではありません。

食べ物が軟らかく調理され、がんばって噛まなくても食べられるようになった結果、現代人のあごの骨格は昔よりも小さくなっています。

生えるスペースが足りなくなり、最後に生えてくる親知らずの「萌出異常」も必然的に増えているのです。

歯科医師としては、①外科処置である ②抜くのが大変 ③たいへんな割には保険点数が低い ④リスクが高い ⑤患者様にはまったく喜ばれない などの理由で、親知らずは抜歯せずに大学病院などに紹介されることが多いのです。

患者さまとしては、①注射が痛い ②抜いた後が痛い ③ほっぺたが腫れる ④下唇付近にしびれが残るリスクがある。

など抜きたくない理由はたくさんありますが、やっぱり抜いておいたほうがいいと思います。

まっすぐはえていればギリOKですが(磨きにくく、むし歯になるリスクが高い)、横になっていたり半分はえている場合は、長い人生リスクが高すぎるので抜いておいたほうがいいと思います。

恥ずかしい話、歯科医師人生26年目で気づいたのですが…

親知らず抜歯の最大のリスクは下唇のしびれ、そのためにCT撮影して神経の位置と根の先の位置を精査するのですが、よく考えたら歯根が完成する前の20代前半に抜いたほうがリスクは低いはず!

ということで長女21歳、昨年冬休みと今年の春休みで抜きました。

なぜ今まで気付かなかったのだろう…


2022年05月31日