やってはいけない保険治療②


最近、下の写真のようなケースが多くて頭を悩ませているので、今回は保険で適用されてる白い詰め物(コンポジットレジン)について説明しましょう。

私は、「動機善なりや、私心なかりしか」を念頭に置いて治療方針をたてるようにしています。

つまり利益ではなく、患者様の将来のために一番良い治療法はどれなのか?と考えながら治療法を提案します。

しかし、良い治療法は時間と費用がかかる…

コンポジットとは「混合の」という意味で、コンポジットレジン(以下CR)は、合成樹脂(レジン)にフィラー(ガラスやセラミックなどの鉱物の微粉末)を混合して作られています。

このため、強度が高く色や透明感などが天然の歯に近いという特徴があります。

このコンポジットレジン、20年前と比べると材料としてよくなってきているので、私も日常診療でよく使用します。

しかし材料には適材適所があります。

CR治療の利点は、

①歯の削る量が少なくてすむ

②色が白い

③治療が一日で終わる

④治療費が安い、

などがあげられます。

また、歯科医院としても歯科技工士に技工料を払わないですむので利益率の高い治療法でもあります。

欠点は、

①強度(過度な力がかかると壊れる)

②水分(唾液などの水分があると歯と接着しない)

③歯科医師の技術と誠実さで予後が大きく変わる…まあ③は他の治療でもですが、CR治療は特にでてしまいます。

下の写真は、数年前に銀歯を白くしたいと受診された患者様の写真です。

私は力のかかる大臼歯だったので自費のセラミックインレーをすすめたのですが…

今回「歯がしみる」と受診された時の写真が右の写真。

他の歯科医院で保険CR治療したみたいですが、強度不足で力のかかるところは欠けてすり減って象牙質がみえているし、隣の歯との接するところの形もよくなく清掃しにくいのでむし歯が進行している。

う~ん悲しい…これからまた治療すると歯を削らなくてはいけないので、よけいしみる可能性がでてしまう。

「早い・安い・きれい」も患者様のニーズのひとつですが、歯には治癒能力はないし、治療して一生もつわけではありません。

治療法を選択するときは将来のことも考えてくださいね。


2020年10月31日