白くて安いからといって2
鶏肉を料理するときにいつも思うのが皮を切るのは大変!やっぱり、動物でも植物でも表面は外部からの防御機構が備わっている。これは歯も一緒で、歯の表面のエナメル質にも防御機構が備わっていて、初期のむし歯なら再石灰化で治る可能性がある(ほんの初期のむし歯だけですが…)。しかし象牙質や歯根には防護機構がない!なので、いつも皆様に「むし歯は治らないから、痛みがでる前に受診してね!」というのです。
つまり、エナメル質は大事!だから私の治療方針は、可能な限り削らない。しかし4年ほど前から厚生省は小臼歯のCAD/CAM冠(プラスチックと陶材を混ぜた樹脂)を保険適用にしてしまいました。たぶん歯科用金属の価格が高騰したこと、歯科材料会社のロビー活動が原因ではないかと考えているのですが、これがよくない!
問題点は①歯を削る量が多い②精度が悪い③はずれやすい。利点としては①白い②金属アレルギーの心配がない の2点があげられますが、それを考慮してもよくない!
当院ではすすめませんが、たま~に選択される患者様がいます。下の写真はその一例、左下の歯の痛みで受診された20代女性。むし歯が進行していたので、まずは神経の治療、その後にかぶせ物を選択してもらいました。
かぶせ物の種類としては、①部分的な銀歯(保険内)②部分的な金歯(自費)③部分的な白い歯(自費:セラミック)④保険適用CAD/CAM冠を提示。彼女が選択したのは④…①②③を選んでくれたら侵襲の少ない治療ができたのに…と思いながら、歯を削りました…
治療法を選択するときは①コスト面②審美面③健康面を考えなくてはいけません。保険適用CAD/CAM冠は患者様からすれば②審美面③健康面がとりあえずの利点(自費のCAD/CAM冠は材質・精度ともにオッケーです)歯科医院からすれば①患者さんが喜ぶ②保険点数が高いのが利点。他院のHPみていると、保険CAD/CAM冠を大々的に宣伝しているところもありますが、今後トラブルがでてくると思います。
④を選んでもちゃんときれいに治療はしますが、将来のこともよく考えて選択することを切に願います。
エナメル質=皮膚=防御機構ですよ!