健口⇒健康(オーラルフレイル)
わたしたちの健康を支える3つの要素である栄養・身体活動・社会参加のうち、栄養についてはお口の健康を維持・向上させることがきわめて大切です。
日常生活で何となく会話しにくかったり、噛めない食品が増えたり、むせたりといったお口のささいなトラブルを感じたら、「年のせい」と諦めずに適切な対策をとる必要があります。このようなお口のささいなトラブルを見過ごしてしまうと、次の段階として食欲低下やお口の機能低下(噛む力や舌の機能の低下など)が生じます。こうした状態をさらに放っておくと、低栄養、サルコペニア(筋肉減少症)のリスクが高まり、食べる機能の障害を引き起こすおそれがあります。こうした一連の現象と過程を「オーラルフレイル」といいます。
つまり、お口のささいなトラブルを「年のせい」と諦めて放っておくと、自覚がないままに悪循環に陥ってフレイルからサルコぺニア、要介護状態、死亡にいたるリスクが高まるということです。
好きだった固い食べものを避けがちになり、知らずしらずのうちに低栄養状態に陥っていないでしょうか。
歯周病やむし歯などで歯を失い、固い食べものが噛めなくなると、やわらかいものを食べるようになり、噛む機能が低下します。噛む機能が低下すると、ますます固い食べものが噛めなくなり、やわらかいものを食べるようになるという悪循環に陥って食欲の低下を招くことが懸念されます。
口まわりの“ささいな衰え”を「年のせい」と諦めず、しっかり意識して適切に行動することがオーラルフレイル対策の最初の一歩といえます。